雪の思い出②
今週のお題「雪」の続き。
足元を何かがすり抜けて行く感覚でハッと我に返り、池に落ちた事に気がついた。
コートや服が水を吸って、どんどん重たくなり、沈んでいく。
池は私の身長より深く、底を蹴って水面に手を出そうとするが凍った水面に阻まれてしまう。
淵まではコンクリートで固められていて、手をかけられる場所もなかった。
何度も水面に向かってジャンプするが、凍っていて中から割ることができない。
もう限界かも…と思ったとき、グループの男子が傘で氷を割ってくれた。
力を振り絞ってジャンプし、差し出してくれた傘の持ち手を掴む。
グループの子たちが鎖のように手を繋いで、引き揚げてくれた。
息が出来るようになり、ほっとしたのも束の間。
濡れた服が重たい&寒い。
視覚も聴覚も水の中にいるように、ぼんやりしていた。
数人がかりで私のコートや防寒具を絞り、男子たちは走って先生を探しに行ってくれた。
私は近くのテントのような施設に誘導してもらい待つことに。風が遮られ寒さが多少マシになったのが、ありがたかった。
展示されていた民族のお面や武器、お経のような音声が怖かったけど…
暫く待つと先生が到着。 ベンチコートをかけてもらい、パークの事務所へ。
どうやって移動したのか、荷物は誰が運んでくれたのか…ここはあまり記憶がない。
まだお昼前だったが、帰りの時間まで事務所の一室で過ごす事となった。
濡れた服をすべて脱ぎ、毛布にくるまって過ごした。
私の着ていた服は帰るまでに乾きそうもない。ということで、予備を持っている子達と担任から借りることになった。本当にありがたかった。
しばらくすると体もすっかり暖まって、元気を取り戻した。
お腹が空いてリュックからお弁当箱を取り出したのだが、池の水が染み込んでしまっていた。
まだ、殆ど食べていなかったのに…。
大好物が一杯つまった母の特製弁当を無駄にしてしまったのが、とても悲しかった。
窓もなく、簡易ベッドと小さな洗面台だけがある部屋は退屈だった。
帰りの時間だと呼ばれるまで、再び毛布にくるまってウトウトしながら過ごした。
やっと帰りの時間になり、バスまで移動することに。
しかし、私の中で一番の修羅場はここからだった。
➡️雪の思い出③に続く…