雪の思い出③
今週のお題「雪」の続き。
バスまで移動することになったのだが、乗り場に着いてビックリ。
学年の生徒全員が整列している前を通って、最初にバスに乗せてくれたのだ。
心遣いは本当にありがたかったのだが…そのときの自分の出で立ちが問題だった。
上半身は担任の白いトレーナー。
足の付け根辺りまで覆われる大きなサイズで、お腹の部分に大きな豹が描かれていた。
下半身は他の子達に貸してもらった白タイツに、体操服の短パン。
靴はトイレスリッパのようなサンダルを貸してもらっていた。
もともと人前に出るのが苦手な性格もあり、上記の出で立ちで160人くらいいる同級生の前を通るのは精神的に辛かった。
『池に落ちたんだって』『ホントに落ちたんだ。』『かわいそう。』『王子さまみたいな格好してる。』
好奇心たっぷりな視線が注がれ、ヒソヒソされているのが聞こえてきた。
このお陰で、私が池に落ちたことは学年の生徒全員が知るところとなった。
この時の情景・心情は何度も夢に見るほど思春期の私には衝撃だった。
バスではグループの子達に再会。
助けてくれたことにお礼を言った。
みんな、体調を気遣ってくれてありがたかった。
バスを降りるときも、私が一番に下ろされ保健室へ直行。
同級生たちの視線が痛かった…
保健室には既に母が迎えに来ていて、大層心配された。
ずっと平気だと思っていたが、母に抱きしめられたら涙が出てきた。
帰宅して暖かいお風呂に入らせてもらうと体が温まって生き返るようだった。
翌日から暫く、私は学校を休んだ。
タイミング悪く妹がおたふく風邪にかかり、私もうつってしまったためだ。
久しぶりに登校すると、同級生の男子に本気で驚かれてビックリ。
真冬の池に落ちた後に学校に来なくなったので、死亡したと噂が立ってたみたい…。いやいやいや…。
暫くの間、色々な子に二度見されました。
…いや、生きてるから。
今では笑い話となった、雪にまつわる思い出でした。